(28.9.24) 最後のサプライズは長期金利の誘導だ!! 日銀のむなしいパフォーマンス
黒田日銀が再びサプライズを狙って編み出した手は長期金利を0%前後に据え置く目標金利の設定だという。
「毎年80兆円に上る資金の供給をしてもダメ、短期金利をマイナスに誘導してもダメ、残るのは長期金利しかないではないか」日銀苦肉の策である。
黒田日銀としたら13年4月以降の金融緩和策によっても消費者物価を約束の2%に引き上げることはできず、さらに今年2月の短期金利のマイナス誘導も不発に終わってしまったため、最後の切り札として長期金利を0%前後に固定する政策を採用するという。
キャッチフレーズは「量的緩和に金利政策を加味する」というのだが、市場からは笑われている。
「黒田さん、何も誘導などしなくても長期金利は0%前後に張り付いてますよ!!!」
黒田日銀としては消費者物価が上昇するのではなく低下するのを見て「何か行わないと日銀の権威がすたる」との危機感でアナウンスメントしたのだが、もはや日銀ができる量的緩和も金利政策もほとんど賞味期限切れになってしまった。
毎年80兆円規模の資金を投入しても物価は上昇せずGDPもほぼ横ばいで企業は設備投資意欲を完全に失っている。
「黒田さん、資金を緩和してくれるのはありがたいのですがこの資金で生産を増やしても売るべき場所がないのです・・・・・・」
日本は完全に少子高齢化でさらに劇的な人口減に見舞われているので、国内需要はじり貧だ。
子供はいないし、いるのは爺さんばあさんばかりで消費意欲などはどこかに吹っ飛んでいる。
今まではそれでも輸出という手もあったが、ここにきて世界経済が急ストップしてしまい、貿易などは月を追って低下している。
「金があっても、また金利がいくら低くてもこれではどうしようもありませんな」企業家マインドが完全に冷え切った。
資金は必然的に不動産や株式といったそれ自体は価値がないが不労所得が当てにできる世界に流れていき、東京などは意外にも地価の上昇が発生している。
これは世界共通で隣の中国などは緩和した資金がすべて不動産投資に向かっているため大都市の住宅価格が再び上昇し始めた。
日本人は不動産バブルを知っているからそれでもおっかなびっくりだが、中国人はその恐ろしさを知らないから舞い上がっている。
「政府が金を出してくれるのだから不動産を購入しなきゃそん、そん!!!」
だが世界全体をみると2008年のリーマンショックにこりているため不動産投資も株式投資も資源投資も頭を押さえられている。
世界経済が低下傾向を示しており、中でも中国経済が崩壊しつつあるときにのんびりと不動産や資源に投資している余裕など本当はないからだ。
こうした投機資産は購入したら売らなければ全くの価値はないが、売る相手などいない。
注)中国の不動産投資は中国人だけが行っており海外の投資家は手を引いている。
前から何度も言っているが経済も人間の身長と同じで、青年期には当然身長も伸びるが二十歳を過ぎたら伸びも止まるように経済も成長期が過ぎれば止まる。
20過ぎの青年に無理やり食事をさせるとただひたすら肥満になるが経済も同様に肥満になる。
アメリカや日本の金融緩和策とはただひたすら肥満児を作っては体重が増えた(GDPが増加した)と喜んでいるに過ぎない。
だがその肥満にも限界があり小錦以上に太ることは不可能だ。日本経済は成長点を過ぎたのだからGDPを増やすことなど考えるのが間違っている。
なぜ今以上の生活をしなければならないか考えてみてほしい。「足りるを知る」のは個人の知恵だけでなく国家経済の知恵でもある。
日銀がサプライズを繰り返す時代はすでに終わったのだ。
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